運動していますか? ②
僕と同い年の友人で、群馬大学の教授をしている男がいます。彼は運動学が専門で、自身もマラソンをやっています。かつては箱根駅伝にも出場し、42,195キロのマラソン記録は日本で十位だとか。彼は柏艪舎から『三途の川を走って渡ろう』(山西哲郎著)を出しています。
彼は言うまでもなくマラソン界のプロでしょう。そうなると、僕がスポーツのプロなどとは決して言ってはならないことですね。まあそれは良くわかっているのですが、とにかく気持ちはそうだったということです。当時の僕が必死で生きていたことは間違いありません。
アマかプロかはともかく、人間には“運動”と言うほかの動物にはない、80年から90年の人生をつつがなく歩むための必須の機能が備わっています。これを使わずに歩むというのもまた人生に違いないのですが、僕は幸いにして運動の虜になっています。いったい何時になったらストップするのだろう、という恐れはいつもあります。
僕の義理の父親は95歳で世を去りました。彼は新聞記者をしたユニークな人柄でしたが、とにかく彼が運動をする姿を僕は一度も見たことがないのです。自分の好きなことだけをする、そのことに集中していたようです。95歳になっても20歳時と体重が変わらないのですからビックリですよね。僕はそういう方がいらっしゃることも知っていますが、とにかく自分は“運動が好き”ということです。
引退したプロ野球選手が2、3年後に不様な肉体を晒すようになるのを見るにつけ、50歳になっても肉体を衰えさせないイチロー選手や松井選手などは、さすがだと言う気がします。僕は体重72キロ。これは20代から変わらぬ体重です。皆さん、日一日と老いることと体重が不様に増えることは一緒じゃないと思いますが、いかがでしょう?
柏艪舎より刊行した、山西哲郎著『三途の川を走って渡ろう』