即断即決の男 ①
今回の話題は「自分の性格」です。自分の性格には、好きな部分と嫌いな部分があるはずです。嫌いな部分の多い人は内向的になり、好きな部分の多い人は外交的になる、などの一般的な想像は付くものの、はっきりとしたことは分かりません。てすから僕は勝手に自分の性格を並べ上げ、その評価は皆さんそれぞれにお任せしたいと思います。
まず僕は、表向きの性格と裏向きの性格が大いに違っているように思います。それは明るく正直な僕を見て良しとする人もいれば、反抗的で人の悪いところばかりを知りたがるとんでもない若者だと思う人もいる、ということです。
僕の十代前半はつらい日々が続きました。誰かが〝正論〟を口にすると、必ずケチをつけたくなるのです。僕にはたくさんの友人がいました。しかし結局のところ仲の良かったのは、劣等生というか、いわゆる見栄えのしない連中だったのです。僕自身、何度となく思ったものです。何で俺はあんな連中と付き合っているんだろうと。
今思うと、それは彼らがあまり〝正論〟を口にしなかったからではないでしょうか。どうもそう思えるのです。言いなりに僕にくっ付いてくる、扱い易い連中と言うことになるでしょうか。
一方では、僕はいわゆる〝出来る〟連中とも付き合っていたのです。ただ彼らの中では何となく僕の存在は浮いていたようです。僕が何を言い出すかわからない、ということがあったのでしょう。そしてある日、あれは高一の時だったでしょうか、僕たちは海岸で遊んでいたのですが、僕が親友だと思っていた男にいきなり横面を張られたのです。理由は覚えていませんが、おそらくは僕が例によって、友人の話に割り込んだのでしょう。
彼はおっとりとした、いかにも良家の息子のような爽やかな男でした。その男にいきなり殴られて、僕は茫然としてしまいました。彼は理由もなく人を殴るような男ではないのです。皆は当然だという顔で僕を見つめています。その後、二人の関係は少し変わってしまいました。互いに親しく接しながら、何となくよそよそしくなってしまったのです。