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僕が好きな映画 ②

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僕が好きな映画 ②

 しかしそうは言っても、やはり拙いのではないでしょうか。僕はこれまで、映画館にはずいぶんご無沙汰しているものの、映画が下らないものだとは思ったことがないのです。さりながら、何とも難しいのですが、映画に娯楽だけを求めるのなら、なにもわざわざ映画館へ足を運ぶことはないでしょう。テレビで見たって同じように楽しめるのでは?

 では何かを学びたいのなら、映画を見ずとも紹介文を読めばわかってしまうのでは? そう考えると、映画を見るほうにも作るほうにも責任があるように思えます。例えば山田洋次監督の「男はつらいよ」、有名な“寅さん”シリーズですが、あの作品群は渥美清と倍賞千恵子という類稀な俳優を2人起用したことが唯一の救いであるように思います。ああいう作品は2、3回で辞めるべきだと思うのですがいかがでしょう。 あとは皆さん、惰性で見るだけですから。

 例えば僕はかつて、「トップガン」を翻訳したことがあります。そのリメイク作品が今年作成され、日本でも良く見られているようです。空を飛ぶ戦闘機乗りの生活がメインなのですが、僕にはあれは一作で良かったなと思えます。

 要するに、僕にとって必要な映画というのは、1、2回限りの、僕たちが知らない世界を見せてくれるものなのです。ですから僕はシリーズものを信用しません。「ゴッドファーザー」は3回でぎりぎり限度でしたし、“ジェイソン・ボーンシリーズ”も、あの原作は確かに売れましたが、回数がいかにも多すぎたように思います。

 また宮崎駿監督のアニメ映画を例に取れば、僕が面白かったのは「紅の豚」でした。あれは大変に斬新で面白いと思いました。しかしそのあとの作品は……。僕にはどうしても、連作に対する偏見があるようですね。

 そうなると、小説家はどうなるのか? 同じ作者が一生のあいだに次々に作品を発表します。つまり、作家はマンネリズムに陥らないのでしょうか ? 一生のうちにやはり数冊で十分ではないのか? 僕にとっては大いに問題です。皆さんのご意見をお聞かせくだされば有難く思います。

『トップガン』(山本光伸翻訳)

『ゴッドファーザー 上』(山本光伸がデビュー前に翻訳した作品)

『暗殺者』(山本光伸訳・映画「ボーンアイデンティティ」の原作)

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山本光伸プロフィール

 札幌で出版社・柏艪舎と文芸翻訳家養成校・インターカレッジ札幌を経営しています。
 80歳で小説家デビューを機にブログをはじめました。
 ロバート・ラドラム『暗殺者』、アルフレッド・ランシング『エンデュアランス号漂流』(新潮社)、ボブ・グリーン『デューティ』(光文社)他、訳書は200冊以上。

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