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山本光伸作品集1『乾杯!』発売のお知らせ

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山本光伸作品集1『乾杯!』発売のお知らせ

これからは、2ヵ月に一冊の割合で僕の小説を紹介して参ります。短い小説もあれば長いのもあります。長さはどうあれ、僕の人生をかけたものであることは間違いありません。はじめは疑心暗鬼の面があったものの、しだいに自分でも面白いと思うようになってきました。皆さん、どうぞご期待ください。

そしてひと月に一回、このブログで自作の宣伝(!)をする予定ですが、その間には僕の様々な意見を皆さんに聞いていただき、僕も皆さんの意見に耳を傾けたいと考えます。何だか面白くなりそうですね。僕も精一杯頑張りますので、皆さんもどうか時間を作って奮ってご参加いただきたいと思います。

それでは、どの作品を最初に読んでいただきましょうか。僕は今回、きちんと読み直してみて、実は大いに感心しているのです。よくもこんなにきちんと、そして面白く書けたものだと! 僕は本当にそう思いました。そしてもし本書が一般読者を相手としない “屋内作業” であるなら文句ないのですが、そういうわけにはいきません。果たして読むに耐えうる作品かどうか、じっくり皆さまの意見をお伺いしたいと思います。

作品の中には、書いてから30年ばかりが経つものもあります。しかし、僕の作品は時代に捉われないものばかりのはずです。その点も理解してお読みいただければと思います。さて、初回は『乾杯!』と名付けられた作品です。

一家は東京の住人です。60歳を過ぎて母親は体調を崩し、医師に診断をしてもらうと、癌の心配はないが用心するようにと言う心もとない返事でした。夫も癌とは言わず、息子二人も惚けることに同意したようです。

敦子は冷静に自分の体調を見つめ、癌に違いないと思い込みます。そして10月、敦子は生まれ故郷の猿払に電話を掛け、遠い親戚一家を夫と二人で訪ねることにしたのです。ほぼ半世紀ぶりの再開にもかかわらず、二人は猿払で大歓迎を受けました。

猿払の人々の歓迎を受け、二人は丘の中腹に建つ、オホーツクが眼下に見える使い古しの一軒家に住み着きます。段々と敦子の症状が明らかになってきます。秘密の探りあいのような状態が続く中で、彼らは相手の身体を思いやり、やがて大団円を迎えます。

この作品には、悪人は出てきません。しかし人間の成す “悪” よりも悪辣な、“病気” という悪魔が全編の主役をなしているのです。僕の作品には、このような小説が多いのかもしれません。ただしこれは、年齢とは関係ないでしよう。僕は若い頃から、このような主題に関心があるのです。

皆さまに広くお読みいただければ幸いです。

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山本光伸プロフィール

 札幌で出版社・柏艪舎と文芸翻訳家養成校・インターカレッジ札幌を経営しています。
 80歳で小説家デビューを機にブログをはじめました。
 ロバート・ラドラム『暗殺者』、アルフレッド・ランシング『エンデュアランス号漂流』(新潮社)、ボブ・グリーン『デューティ』(光文社)他、訳書は200冊以上。

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