80歳で小説家デビュー!
そして3年前、脳梗塞から復帰したものの、会社での仕事のほとんどがなくなり、僕は自作品を充実させようと考えたのです。そして10冊ほど、新人賞に応募してみたのです。79歳のときでした。
愕然としたことに、何と一冊も反応がなかったのです。これはまあ、考えてみれば当たり前の話かもしれません。出版社としては優秀な “若い書き手” と契約したほうがずっと意味があるということなのでしょう。僕が出版社の人間としてもそれは理解できます。
しかし、しかし、80歳の僕はどうしたらいいのか。年齢じゃないぞ、お前の作品がつまらないからだ、という声が聞こえてきます。それが事実であれば、それはもう諦めるしかないでしょう。僕もそんなに未練がましい男ではありません。ですが、何とかもう一度、読んでいただきたいと思うのです。
そんな思いで鬱々としていると、幣社の女子社員たちがあるアドバイスをくれました。電子書籍で勝負してみたら、と。僕はそれまで、電子書籍には全く関心がなかったのでびっくり仰天したものです。詳しい話を聞いてみて、納得した僕はそれに賭けてみることにしました。まさに80歳で作家に挑戦です。うまくいくかどうか、つまり皆さんの好感を得られるかどうかはわかりません。
だけど、それが成功しようが失敗しようが、僕は死ぬまで小説を書き続けるでしょう。それだけは今、はっきりと断言できることです。皆様に喜んでいただけるなら幸せです。