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文芸翻訳家の僕が80歳で小説家デビューするまで ⑦

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80歳で小説家デビュー!

そして3年前、脳梗塞から復帰したものの、会社での仕事のほとんどがなくなり、僕は自作品を充実させようと考えたのです。そして10冊ほど、新人賞に応募してみたのです。79歳のときでした。

愕然としたことに、何と一冊も反応がなかったのです。これはまあ、考えてみれば当たり前の話かもしれません。出版社としては優秀な “若い書き手” と契約したほうがずっと意味があるということなのでしょう。僕が出版社の人間としてもそれは理解できます。

しかし、しかし、80歳の僕はどうしたらいいのか。年齢じゃないぞ、お前の作品がつまらないからだ、という声が聞こえてきます。それが事実であれば、それはもう諦めるしかないでしょう。僕もそんなに未練がましい男ではありません。ですが、何とかもう一度、読んでいただきたいと思うのです。

そんな思いで鬱々としていると、幣社の女子社員たちがあるアドバイスをくれました。電子書籍で勝負してみたら、と。僕はそれまで、電子書籍には全く関心がなかったのでびっくり仰天したものです。詳しい話を聞いてみて、納得した僕はそれに賭けてみることにしました。まさに80歳で作家に挑戦です。うまくいくかどうか、つまり皆さんの好感を得られるかどうかはわかりません。

だけど、それが成功しようが失敗しようが、僕は死ぬまで小説を書き続けるでしょう。それだけは今、はっきりと断言できることです。皆様に喜んでいただけるなら幸せです。

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山本光伸プロフィール

 札幌で出版社・柏艪舎と文芸翻訳家養成校・インターカレッジ札幌を経営しています。
 80歳で小説家デビューを機にブログをはじめました。
 ロバート・ラドラム『暗殺者』、アルフレッド・ランシング『エンデュアランス号漂流』(新潮社)、ボブ・グリーン『デューティ』(光文社)他、訳書は200冊以上。

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