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脳梗塞になってから
年を取るということと、80歳を迎えるということは同義です。
僕の場合、3年前に作家の丸山健二氏と揉めて――
と言うと、かっこよく聞こえるかもしれませんが、すべては我々の側の責任でした。つまり、こちらが財政的に厳しくなったのです――、
それ以降、僕は急激に健康が悪化して脳梗塞を患い、一月ほど入院しました。そして現在は……
この “現在” から、すべては始まります。
僕は退院してのち、柏艪舎のメインの仕事からは身を引いています。
と言うか、僕のやり方ではお金がいくらあっても足りないわけで、そこが改善されるまでは代表はゆっくりしていてもらいたいというわけです。つまり、自費出版系の出版で糊口を凌ごうということです。
僕もその考えには異存なく、それ以降、毎日会社へ出勤していますが、自分には責任を負うべき仕事がないという “安楽” さが、やがてなんとなく苦痛になってきたのです。
みんな借金を返済しようと必死で働いています。
その横でのんびりと原稿を書いていていいものか、と。
文芸翻訳家の僕が80歳で小説家デビューするまで ③
小説と剣道、そして翻訳家に
僕は昔から剣道をやっており、中学一年から昔風の野蛮な剣道に鍛えられてかなり強かったのです。
大学卒業の前年に、僕は剣道で身を立てようと考えました。