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文芸翻訳家の僕が80歳で小説家デビューするまで ②

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脳梗塞になってから

年を取るということと、80歳を迎えるということは同義です。

僕の場合、3年前に作家の丸山健二氏と揉めて――

と言うと、かっこよく聞こえるかもしれませんが、すべては我々の側の責任でした。つまり、こちらが財政的に厳しくなったのです――、

それ以降、僕は急激に健康が悪化して脳梗塞を患い、一月ほど入院しました。そして現在は……

完本丸山健二全集第一期
2017年から2019年にかけて刊行した『完本 丸山健二全集』     

この “現在” から、すべては始まります。

僕は退院してのち、柏艪舎のメインの仕事からは身を引いています。

と言うか、僕のやり方ではお金がいくらあっても足りないわけで、そこが改善されるまでは代表はゆっくりしていてもらいたいというわけです。つまり、自費出版系の出版で糊口を凌ごうということです。

僕もその考えには異存なく、それ以降、毎日会社へ出勤していますが、自分には責任を負うべき仕事がないという “安楽” さが、やがてなんとなく苦痛になってきたのです。

みんな借金を返済しようと必死で働いています。

その横でのんびりと原稿を書いていていいものか、と。

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