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どこで暮らすか 住む場所の決め方は? ①

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どこで暮らすか 住む場所の決め方は? ①

 僕は外での生活が好きなせいか、天気予報にはかなりの親近感を覚えます。例えば神奈川県の逗子にいた頃には、北海道にいつも行きたいと思っていて、しょっちゅう津軽海峡や北海道各地の天気案内に電話していたものです。そうして少し訛りのある案内の言葉に目を瞑って聞き入っていると、あたかも現場にいるような雰囲気を味わったものでした。

 40代から60代にかけて青函連絡船にはそれこそ何百回となく利用していますが、僕は例の自律神経失調症に掛かって以来、どうにも乗り物に乗るのが不得手になってしまいました。二本の電信柱の間が歩けなかったのですから、ご理解いただけるでしょうか。フェリーといえども乗り物ですから、どうしても呼吸が昂ってくるのです。今ではもう何ともありませんが、それでも、自然に“乗り物”からは足が遠のいているのです。

 北海道に移ってまず最初に思ったのは、夏の太陽の輝きでした。逗子にももちろん快晴の日はありますが、何というか、その深い“碧さ”に違いがあるのです。上手く説明ができないのが残念です、その“碧さ”はどこまでも透明に碧く、深く澄んでいるようなのです。僕はその“碧さ”に魅了されました。また夏場に快晴といえば暑いに決まっていますが、ひとたび日陰に入ると、ひんやりとした夏風が吹き渡っているのです。僕はそれを経験した時の喜びを未だに忘れたことがありません。

 良き人生を送っていれば、良き人生に巡り合うことができる。僕はそれを信念として生きてきたような気がしています。——そうなるとしかし、今の僕はどうなのか? 人生はもっともっと美しくなると思っていたのでは?

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山本光伸プロフィール

 札幌で出版社・柏艪舎と文芸翻訳家養成校・インターカレッジ札幌を経営しています。
 80歳で小説家デビューを機にブログをはじめました。
 ロバート・ラドラム『暗殺者』、アルフレッド・ランシング『エンデュアランス号漂流』(新潮社)、ボブ・グリーン『デューティ』(光文社)他、訳書は200冊以上。

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