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山本光伸の翻訳教室 ⑥

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山本光伸の翻訳教室 ⑥

☆automatically

 私は副詞の訳し方がいちばん難しく、だからこそいちばん面白いと思っている。

 例えば、I said, “ hello” automatically.という文章がある。このautomaticallyを、「機械的に」と訳すことはもちろん可能だが、「とっさに」、「すかさず」、「いつもの調子で」、と表現することもできるだろう。

 とにかく、学生の訳文や下訳者の文章を見る場合、私がまずチェックするのは副詞の訳し方だ。辞書の言葉を“機械的に”当てはめているようでは話にならない。副詞、形容詞に神経を使っている人の文章は、全体的に細かい配慮がなされているようだ。

 これは理解力というよりは感性の領域だろう。つまりそれだけ訳者個々の感性が試されているということなのだ。あなた独特の感性を十分に発揮していただきたい。

 そしてこの感性を発揮するためには、あなた個人の感性が豊かであることが必須条件だろう。自分のこの条件不足を辞書で補おうとするケチな根性は失くすほかはない。少なくとも、翻訳家になると思うなら、それは絶対的なことのように思われる。

 辞書にこだわる皆さん。辞書なしで英語の本を読んでみることです。それも、わからないところは何度も読み返して、一応あなたの判断力を試してみることです。何冊か読んでいけば、必ず効果が表れるはずですよ!

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山本光伸プロフィール

 札幌で出版社・柏艪舎と文芸翻訳家養成校・インターカレッジ札幌を経営しています。
 80歳で小説家デビューを機にブログをはじめました。
 ロバート・ラドラム『暗殺者』、アルフレッド・ランシング『エンデュアランス号漂流』(新潮社)、ボブ・グリーン『デューティ』(光文社)他、訳書は200冊以上。

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