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僕の北海道旅 ②

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僕の北海道旅 ②

 それでも、僕は一度として事故を起こしたことはありません。これはちょっと自慢してもいいでしょう。一緒に旅に出た仲間は、何回か必ず事故を起こしています。僕も危機一髪の瞬間は何度か経験しています。夜道でバイクの後輪がすべってひっくり返りそうになったとか、トラックを追い越した先で急に道が細くなり、あやうく潰されそうになったとか。しかし、事故になったことは一度もないのです。

 カンがいいとか悪いとか言われますが、そんなことは関係ないように思います。僕もかなり無理をして走っています。そう言えば、警察に捕まったことが三度ありますね。しかし捕まっても、僕は必要なこと以外は無言を通します。仲間がいろいろ喋ってくれて、やがて放免されるのですが、警官からはいつも、お前の態度は腹が立つと言われます。これもやはり、仕方がないですよね。

 先日も札幌市内の交差点で赤信号で停止したところ、後ろにパトカーが止まりました。僕は右折するので、少し車を右側へ動かしたのです。するとすかさず、後ろから注意の声がかかりました。「信号は赤ですから動かないで」と。僕は無言で窓を開けると、腕を突き出して、相手に向って“FUCK YOU”の指マークを作ってやりました! 残念ながらわからなかったようですが……。

 まあ、警察の話は冗談みたいなものですが、僕はどうしても、権力を握った人間が嫌いなのです。例えば、道を歩いていて、交差点の向こうに警察官が立っていたとしますね。すると僕は、たとえ信号が赤であっても、その道を横断しようとするのです。それで一度警官と大喧嘩になったことがありました。まあ、これは僕がいけなかったことなので大いに反省したものです。

 いずれにしても、僕はこの性格で人生かなり損をしているように思います。皆さん、どう思われますか? しかし、こういう人間が北海道を走り回っているのです。日本はやはり、平和なのでしょうね。

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山本光伸プロフィール

 札幌で出版社・柏艪舎と文芸翻訳家養成校・インターカレッジ札幌を経営しています。
 80歳で小説家デビューを機にブログをはじめました。
 ロバート・ラドラム『暗殺者』、アルフレッド・ランシング『エンデュアランス号漂流』(新潮社)、ボブ・グリーン『デューティ』(光文社)他、訳書は200冊以上。

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