幸せな人生とは ②
民主主義や共産主義の問題はとくに大学時代に勉強したものです。それが実際の人生では、自分の人生が惨めになればなるほど共産主義へと――全く気付かずに――引きずり込まれていたのです。それでもって民主主義者から共産主義者へ転向する人もいるかもしれません。それはもう人それぞれの人生ですから何の文句もありません。民主主義国家から共産主義国家へと移った国もあるではありませんか。
しかし、僕にとってはそうはいかないのです。それは父との暗黙の約束があるからです。あれは高校一年の時だったと思いますが、父と僕は今で言う世間話をしていました。何を話していたかは覚えていません。するうちに中国の話になり、父は、「中国には我々のような自由がないだろう。もし日本が中国のようになるのなら、父さんは自殺するよ」と言ったのです。
父がそのようなことを言ったのは、それが最初で最後のことでした。だからこそ、僕はその事実を今なおはっきりと覚えているのです。父がなぜそんなことを言ったのかはわかりません。ひょっとしたらふざけて言ったのかもしれません。しかし僕の心にはその言葉かまるで父の遺言のように残っているのです。
したがって、父の言葉を忘れ、共産主義者のように考えていた僕は自分が許せないように感じたのです。今思えば、人生最大の難関時で、僕が思い出すように父は60数年前に言ったのかもしれません。もしそうであれば……僕には何を言えばいいのかわかりません。父の偉大さに今更ながら感謝するのみです。
このブログのタイトルは、「幸せな人生とは」でしたね。僕のブログはときどき、自分でも思っていなかったようなことを言い出すので困ります。許してください。僕にとって幸せな人生とは――これは今回、このブログを書き始めて初めてピンと来たことですが――両親が言い残したかった言葉にしたがって僕は生きている、ということでしょうか。