親友のこと ①
ところで、今回は「親友」について話してみましょう。皆さんには大勢の友人や親友がいることでしょう。彼らとはいつも仲良くしていますか? 僕にも何人か変えがたい親友がいたのですが、何ともう、その全員があの世へ旅立ってしまったのです。取り分け僕は50 過ぎに北海道へ引っ越したものですから、こちらで新しい友達は増えたものの、親友には成り難く、一方関東にいる親友たちとは60代まではよく行き来していたのですが、それからは次第に間遠になり、今はもう会うことすら叶わないのです。
親友と言えば、僕にはどうしても語らねばならない友人が一人います。彼について書くのはこれが初めてです。書こうか書くまいかと散々迷ったのですが、やはり書くことにしました。どうが聞いてください。
僕が書くことを迷ったのは、彼が僕に腹を立てているからです。20年ほど前に借りた百万円を僕が返していないからです。そして彼がいろいろと仲間に聞いてみると、俺も貸した私も貸したと何人もの被害者が現れ、正義感の強い彼は許しておけなくなったのです。
我々は高校時代の友人で、神奈川代表のAFS生でした。彼は慶応高校の代表で、背が高く、凛としていて、女子たちの人気者でもありました。彼はAFS生としてテキサスにゆき、帰国して数年後にスタンフォード大学へ移り、博士号の試験で日本人初めてのAを取り、新聞でも報道されたほどでした。帰国後は慶応大学の教授となり、僕も藤沢にある慶応校舎で行なわれた彼の授業を見に行ったものです。
彼の自宅は国立にあり、僕が通う国際基督教大学は三鷹なので、彼は暇を見つけてはよく遊びに来てくれました。今言うのもおかしいのですが、僕たちは本当に仲がよかったのです。僕の仲間が言うには、お前たち二人が歩いていると、何だか他の連中と雰囲気が違うんだよな、ということでした!
また彼の家は国立にあるため、僕もよく彼の自宅へ遊びに行ったものです。ご両親にもお会いしました。彼は穏やかで人柄も良く、話していて楽しい男だったのです。彼を慕う女性は数知れず。彼こそは日本のリーダーになる男だと僕も思ったものでした。
そして僕は北海道へ移ることになり、彼も気持ちよく送り出してくれたのです。さあ、そこからです、僕がおかしくなりだしたのは! 【親友のこと②へつづく】