読書で得られるものとは? ①
さて皆さん、お楽しみいただいているでしょうか。文章と言うのは不思議ですね。僕の友人で、文学にはまったく興味がないと言う男がいます。読書などしたことがない、といつも言い触らしています。ところが、その彼が毎日書いているブログには、沢山の “ファン” がいるのです。
まあ、仕方がありません。僕は僕なりに頑張るしかないのですから。今回は「読書について」話したいと思います。僕は確かに、二十代、三十代と大変な読書家だったと思いますが、それが僕の人生にとってどんな意味を持っているのだろうと考えると、どうにも釈然としないものを覚えます。つまり、本を読んだ人間は偉いのか、ということです。
大学生の頃には、相手が何をどの程度読んでいるかによって評価が違ったものでした。要するに、読書量によって相手を評価したのです。僕は今でも覚えていますが、授業からラウンジへの道すがら、ある男子生徒が「いやあ。俺やっとレーニン全集を読み終えたぜ」と友人に語っているのを小耳に挟んだのです。
それを聞いた瞬間、僕はショックに打たれました。レーニン全集? ロシアの思想家? 僕の全然知らない世界ではないか。そう思うと、足が震えるような衝撃を覚えたのです。もっと読まなくてはという強烈な思いと共に、これでは追いつかないという諦めみたいなものさえ浮かんだものでした。
まだ22,3歳の頃でしょうか、読書を始めてまだ数年しか経っておらず、僕自身も大いに気負っていた時代です。人が知らないことを知ることにこそ価値があると信じこんでいたのです。その思いは今も少なからず残ってはいるものの、そうではないと気づかされたのがその頃でした。