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大学は必要か? ②

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大学は必要か? ②

 さてそれ以降、大学卒で得したことがあったのかどうか、僕にはまったく分かりません。たぶん得をしたことはあったでしょう。大学を卒業して結婚しようかと思い、彼女の神戸の自宅まで行ったのですが、勤め先はどこだと言われ、とんぼ帰りして大手の出版社に就職しました。当然、先輩のコネです。そのとき同時に入ったのが、僕の親友で、空手道の指導員をしているBと言う男でした。このBは、あまりに熱心に空手をやっていたために、前年に退学処分になっていたのです。つまり二人とも、大学とは関係のない就職をしたのです。まあ、これは時代が良かったせいもあるでしょうね。

 そして翌年5月に僕は結婚。それと同時に出版社を辞めたのです。勤務期間は半年、まあ本当に遊びのような勤務態度でした。それから約30年です、僕がどこにも勤めず、剣道に邁進しながら翻訳業に励んだのは。

 このように考えてくると、大学卒ということが果たして意味を持っているのかどうか考えてしまいますね。もし僕が高卒だったらどうなったか? 剣道はともかく、翻訳業に進むのはやはり無理だったでしょう。結婚も彼女とはできていません。両親や兄弟、そして友人たちはどうしたか?

 書いているうちに、僕は次第に自信がなくなってきました。僕は大卒の資格なんて必要ない、と書くつもりだったのですが、どうもそのように一概には言えないようですね。しかし、こういう話もあるのです。

 日本には、一流の大学と、他の国では見向きもされないような低レベルの大学とに二分化されている、と。だいたい日本の学生は大学受験が最大の関心事で、一旦受かってしまえば後は遊び放題だというのです。僕もそういう大学生を沢山知っています。つまり、日本の大学生の勉強レベルは、高卒止まりということになってしまうのです。彼らは適当に書籍を書き写して試験にパスし、卒業する。こういう大卒生がごまんといるのではないでしょうか。

 彼らこそは、道路堀り作業員でも構わないのではないかと思います。とにかく、優秀な人間が勉学を極めんがために大学へ行く、そうであって欲しいと思います。何故、勉強が不得意な人間が大学へ行って、4年間の骨休めをしたがるのか、僕には分かりませんね。勉強するというのは、骨身に応える難事業です。それすらも理解できず、遊ぶために大学へ行くなんてことがどうして赦されるのか、僕にはどうしても納得できません。

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山本光伸プロフィール

 札幌で出版社・柏艪舎と文芸翻訳家養成校・インターカレッジ札幌を経営しています。
 80歳で小説家デビューを機にブログをはじめました。
 ロバート・ラドラム『暗殺者』、アルフレッド・ランシング『エンデュアランス号漂流』(新潮社)、ボブ・グリーン『デューティ』(光文社)他、訳書は200冊以上。

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