山本光伸– Author –
山本光伸
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小説
小林龍一さんの個展「FAMILIA」を観て ①
小林龍一さんの個展「FAMILIA」を観て ① 先日、小林龍一さんの個展を観に行った。場所は札幌市中央区南1条西6丁目にある、The JOHNSON STOREの中である。かつて東急ハンズがあった所だ。 -
翻訳
恩師 矢野浩三郎さんの思い出
矢野浩三郎さんの思い出 翻訳業の僕の師匠、矢野浩三郎さんについて語ってみたい。と言って、僕はさほど矢野さんのことを知らないのだ。何しろ知り合ったときはまだ大学時代で、矢野さんは「矢野著作権事務所」を作るなど極めてお忙しい方だった。一方の僕はまだ大学の八年生(!)で、剣道に熱中している時だったので、矢野さんから見ればたぶん、翻訳の話もしないおかしな男だったことだろう。 -
翻訳
僕の翻訳流儀 英語の原文との距離感
僕の翻訳流儀 英語の原文との距離感 文藝翻訳とは、普通は長いものです。もちろん短編もありますが、名前を残している作家には長編作品が多いいようです。その長編作品もただ長いだけでなく、一大巨編になっているのです。 -
人生について
どこで暮らすか 住む場所の決め方は? ④
どこで暮らすか 住む場所の決め方は? ④ 誰かが僕に言いました。「あんたは冬が嫌いだと言っているが、よく聞くと、結局は冬道の運転が嫌なのではないか。だったら市内に引っ越してくればいいじゃないか」と。僕はうん? と思いました。当別の山の中に住み、毎日往復三時間かけて行き来している。それを辞めればいい、だって? -
人生について
どこで暮らすか 住む場所の決め方は? ③
どこで暮らすか 住む場所の決め方は? ③ とまあ、漫画チックに言えばそうなるわけで、僕は在札幌の2年目からは、皆さん(!)と同じく、春こそが我が最愛の季節になったのです。今日は3月の5日です。さっきランニングから戻って来たところです。当別も雪が少なくなり、葉の落ちた木枝を見ると、もうきちんと春の装いを枝先に凝らしています。ああ、これから春か、そう思っただけで全身が沸き立つほどの熱気に包まれます。 -
人生について
どこで暮らすか 住む場所の決め方は? ②
どこで暮らすか 住む場所の決め方は? ② そしてそのために、僕にとっては大きな変化が生まれたのです。僕は晩秋が一番好きな季節でした。今考えると、その“晩秋”の意味そのものがすこぶる曖昧ですよね。夏とは違って町の風情も寒々とし、木々の葉も落ちて物音も絶えがちになる。寒いと言って肩をすぼめる人もいるでしょう。 -
人生について
どこで暮らすか 住む場所の決め方は? ①
どこで暮らすか 住む場所の決め方は? ① 僕は外での生活が好きなせいか、天気予報にはかなりの親近感を覚えます。例えば神奈川県の逗子にいた頃には、北海道にいつも行きたいと思っていて、しょっちゅう津軽海峡や北海道各地の天気案内に電話していたものです。そうして少し訛りのある案内の言葉に目を瞑って聞き入っていると、あたかも現場にいるような雰囲気を味わったものでした。 -
人生について
織本順吉のドキュメンタリー『老いてなお 花となる』②
織本順吉のドキュメンタリー『老いてなお 花となる』② しかし僕には、この結美の問いかけは父親へのラブコールにしか聞こえません。自身が放送作家でもある娘が、幼い頃ならいざ知らず、俳優業に没頭する父親に尊敬の念こそ抱け、恨みに思うはずがないではありませんか。つまりこれは、裏返しにした父親織本順吉賛歌に他なりません。織本があの世で喜んでいることは間違いないでしょう。 -
人生について
織本順吉のドキュメンタリー『老いてなお 花となる』①
織本順吉のドキュメンタリー『老いてなお 花となる』① さて過日、NHK-BSで俳優織本順吉のドキュメンタリー、『老いてなお 花となる』を拝見しました。2日間、4時間余りの大作で、放送作家である娘の結美が、92歳で亡くなった父親織本の最晩年をフィルムに収めたものです。織本は名脇役として知られる俳優で、彼が画面に登場すると、一気にリアリティが増すようだったと記憶されている方も多いように思います。 -
人生について
老人の存在理由とは? ②
老人の存在理由とは? ② 人生の目的が、悠々自適の老後を送ることにあるなどとは私にはとても思えない。面白おかしい人生なんてあるわけがないのだ。戦って、戦って、そして死んでいくのが人生なのだ。少なくとも私はそう思っている。心ゆくまで休むのは死んでからでいい。