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偏食のある人は公平か? ①

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偏食のある人は公平か? ①

 さて、今回は旅に付き物の「料理」についてです。僕は食べるのは大好きなのですが、何を食べるかにはさほど関心がりません。その時、その場で出されたものを有り難くいただきます。そう言うと、僕は何でも食べる大食漢のように思う人もいるかもしれませんが、実はそうではありません。嫌いなものが沢山あるのです。

 まずどうしても食べられないのが、ホルモン系の肉です。あれは見るだけで吐き気がするのでいけません。何年か前に、家の近くの中華料理屋に友達と行ったとき、景気づけに高級ステーキを頼んだのです。一人前、4,600円ぐらいだったかな。そんなことをするのは初めてのことで、店の主人も大張り切り、特上のステーキを用意してくれた上に、さらにサービスでホルモン焼きを大皿に一杯出してくれたのです。

 聞いてみたら、友人もホルモン焼きは大の苦手だとか。二人で考え込みました。まず主人の親切に応えなければなるまい。ステーキはまだ登場しません。そこでそのホルモン焼きから食べ始めたのです。しかし何とか口に出来たのが二口ほどで、あとはもう見るだけで涙が出てきます。

 しかも、お腹はもういっぱいです! 嫌いなものを詰め込むと、どうもそうなるようです。そして分厚いステーキがやって来ました。その時には、二人とももう肉を見るのもうんざりしていたのです! 何とか苦労してステーキを食べ終え、ホルモン焼きも半分ほどにしてから、僕たちはそそくさと店を後にしました。

 ステーキの味なんてクソ食らえです。全くその味を覚えていないのです。それ以降、申し訳ないと思うのですが、僕は町に一軒しかないその中華料理店には二度と足を運んでいません。両者にとって、いや客である僕にとって、それは大失敗だったのです。

 皆さんなら、そんな場合、どうしますか。親父さんの親切はよくわかるのですが、これはいらないと、ホルモンの皿を下げてもらうか、あるいは意を決して全部食べてしまうか。そうなると、肝心のステーキはどうなるのか? これは、十年経った今でも結論が出ておりません!

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山本光伸プロフィール

 札幌で出版社・柏艪舎と文芸翻訳家養成校・インターカレッジ札幌を経営しています。
 80歳で小説家デビューを機にブログをはじめました。
 ロバート・ラドラム『暗殺者』、アルフレッド・ランシング『エンデュアランス号漂流』(新潮社)、ボブ・グリーン『デューティ』(光文社)他、訳書は200冊以上。

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