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幸せな人生とは ①

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幸せな人生とは ①

 今回は、「幸せな人生とは」という問いを考えてみましょう。これは難しい質問ですね。千差万別のアプローチがあるため、一概に言い切れることではありません。僕は今と昔の幸福感について、のんびりと!考えてみたいと思います。

 昔の最高に幸せな生き方とは何だったのでしょう? 自分の好きなことをするのが幸せだったのか。自分を堪えて親の言うことに従うのが幸せだったのか。あるいは、世間のつまらない常識に抗うことが幸せだったのか。そんなことじゃない、と言う人もいれば、その一つずつに頷く人もいるでしょう。

 僕はしかし、ほとんど過去にはこだわりません。そして問題は、現在にもこだわらないと言うことです。そう、僕が最も重視するのが将来なのです。将来が良くなるのなら、現在の不自由は我慢できる。僕はずっとそう思っていたのです。したがって現在を軽視する癖がついてしまったのです。

 しかしそれは、共産主義の生き方と同じではないか、と急に気づいたのです。現実がそれほど緊急事態でない時には、まったく気が付きませんでした。65歳を過ぎた頃から生活がおかしくなり始めたのに、僕は現状を把握できず、将来に目を向けたまま貧困に耐えていたのです。

 共産主義者ならそれで満足するのかもしれません。だけど民主主義者はどうしたらいいのか? 民主主義の根幹は、過去の問題を暫定的に修復・改正しながら将来を目指すのです。こんな自明の理を忘れていたなんてとても信じられませんでした。僕は根っからの民主主義者だと思っていましたから。

 (幸せな人生とは②へつづく)

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山本光伸プロフィール

 札幌で出版社・柏艪舎と文芸翻訳家養成校・インターカレッジ札幌を経営しています。
 80歳で小説家デビューを機にブログをはじめました。
 ロバート・ラドラム『暗殺者』、アルフレッド・ランシング『エンデュアランス号漂流』(新潮社)、ボブ・グリーン『デューティ』(光文社)他、訳書は200冊以上。

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