大学を中退して作家に?——僕の大学時代①
今度は何をテーマにしましょうか。「大学生活」はどうでしょう。大学へ行っていない方も大勢いらっしゃると思いますが、それは単に経験したかどうかの問題であって、大した違いではありません。どうかちょっと目を通してみて下さい。
僕の家族は三人兄弟で、上下の差は9歳あり、僕はちょうど真ん中の生まれです。長男と三男はともに優秀で、二人とも国立大学へ行きましたが、僕は中学から私立へ進み、高校三年の時にちょっとアメリカへ行って、そのまま国際基督教大学(ICU)の選科生となったのです。選科生ですから本科生とは違い、卒業証書はもらえません。しかし勤める気のなかった僕は、それで全然構わなかったのです。
ところが大学三年の時に、成績不良で退学処分になってしまったのです。選科生というのは受験を経ていないだけに、やはり成績を重要視するらしいのです。僕は待ってましたとばかりに大学を辞めてしまいました。ところが、辞めて何をしていいかわからなくなったのです!
作家になりたいとは思っていたのですが、書こうと思っても一行も書けないことがわかりました。当時は、大学を中退したことは両親にも大学の友人たちにも内緒で、仕方なく月曜日には下宿へ出かけ、土曜日に自宅へ帰るという生活を続けていたのです。しかしそれも半年近くになると、何かと不便で仕方なくなりました。そこで大学入試を受けることにしたのです。