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文芸翻訳家の僕が80歳で小説家デビューするまで ①

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逗子から北海道へ

皆さん、今日は。ずいぶんお久しぶりですね。お元気でしたか? 

僕の名前は山本光伸といいます。以後たびたびこのような場でお目にかかると思いますが、どうぞよろしく。

僕は今年で80歳。52歳で神奈川県の逗子から北海道に居を移しましたから、もうそろそろ30年が経過しようとしています。

僕の兄弟やその家族、そして多くの友人たちはいまだに逗子にいますので、これまでは1年に2、3回は帰郷して、そのたびに皆と会い、お互いの近況を話し合ったものでした。もちろん、彼らも時間を見ては北海道にやって来たものでした。僕は彼らを連れて北海道中を旅して回ったものです。もう百回は軽く上回っているほどです。

しかし、そういう楽しい日々はもう過去のものとなりました。

逗子には小学校時代からの友達が4人いて、しょっちゅう騒ぎまわっていたものですが、その4人ともがすでにあの世へ行ってしまったのです。最初の1人の時は何とか我慢したのですが、2人目からはそうはいかなくなりました。彼らと同じ俎上に載っている僕としては、今度は自分の番だなと覚悟するしか手がないのです。

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