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どこで暮らすか 住む場所の決め方は? ④

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どこで暮らすか 住む場所の決め方は? ④

 誰かが僕に言いました。「あんたは冬が嫌いだと言っているが、よく聞くと、結局は冬道の運転が嫌なのではないか。だったら市内に引っ越してくればいいじゃないか」と。僕はうん? と思いました。当別の山の中に住み、毎日往復三時間かけて行き来している。それを辞めればいい、だって? 

 僕はちょっとびっくりしましたね。30年前の真夏にここが良いと決めた僕には、この場所を引っ越すなどとは考えもしないことだったのです。僕にとっては住居の選択が優先順位の第一位で、仕事は第二位以下だったのです! わかりますか? 僕は勤めることなど考えもせずに家を構えました。ところが仕事を始めると、今度は仕事が優先順位を上げ始め、今では住居か仕事かの択一を迫られているようなのです!

 なるほど、と僕は思いましたね。市内に住み、徒歩で会社に通えるようなら、何も問題は起きないだろう、と。そんなに簡単な問題だったのか。僕は今ちょっと返答に窮しているところです。年齢が若ければ、文句なくそうしていたかもしれません。それに冬以外の季節では、当別が僕にはピッタリと合っているように思えるのです。

 あと数年して僕が仕事を辞め、隠居生活を始めるとどうなるのか? そうなると、街の中で暮らすことには絶対反対の僕がいます。何のために北海道へやって来たのか? こんな街中に住むのが目的だったのか? 自分にとって、仕事とはいかなる意味を持っているのか? いやあ、参りましたね。僕にはまだ確たる答えが出ていません。

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山本光伸プロフィール

 札幌で出版社・柏艪舎と文芸翻訳家養成校・インターカレッジ札幌を経営しています。
 80歳で小説家デビューを機にブログをはじめました。
 ロバート・ラドラム『暗殺者』、アルフレッド・ランシング『エンデュアランス号漂流』(新潮社)、ボブ・グリーン『デューティ』(光文社)他、訳書は200冊以上。

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