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どこで暮らすか 住む場所の決め方は? ②

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どこで暮らすか 住む場所の決め方は? ②

 そしてそのために、僕にとっては大きな変化が生まれたのです。僕は晩秋が一番好きな季節でした。今考えると、その“晩秋”の意味そのものがすこぶる曖昧ですよね。夏とは違って町の風情も寒々とし、木々の葉も落ちて物音も絶えがちになる。寒いと言って肩をすぼめる人もいるでしょう。

 ところが北国の冬と言ったら、そんなに簡単にはいきません。僕は一度、札幌のアパートに帰ろうとして、夜八時頃にたぬき小路に足を踏み入れたとたんに、零下20度ほどの冷気に襲われ、身体がゾクッと強張り動かなくなったことがありました。しかしそのような緊張感はしょっちゅうなことで、冬場は外へ出たら最後足元を見て歩くので、周りの景色が目に入りません。また車の事故も――相手の脇見運転で先端をかすられたことが春先に一回あるだけです――大半が冬場で、それこそ人身事故こそないものの、そうなる寸前だったことが何度となくありました。

 冬にはスキーやアイススケートができる? 冗談ではありません。僕は冬のスポーツは一切しませんし、興味もありません。そんな僕にしてみれば、晩秋の詩的な静けさに身を鎮めるなどできるわけがないでしょう。そのすぐ後に、最悪の冬が牙を剝いているのですから!

 僕は53歳で北海道へ来たわけですが、別荘を作って4、5年は夏場に訪れるだけで、冬の北海道はほとんど知りませんでした。今だから言いますが、北海道への移住を考えている人は、ぜひにも冬を経験してみるべきですね。もし冬の北海道が嫌だったら、北海道そのものの価値が消えてしまうかもしれませんよ。

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山本光伸プロフィール

 札幌で出版社・柏艪舎と文芸翻訳家養成校・インターカレッジ札幌を経営しています。
 80歳で小説家デビューを機にブログをはじめました。
 ロバート・ラドラム『暗殺者』、アルフレッド・ランシング『エンデュアランス号漂流』(新潮社)、ボブ・グリーン『デューティ』(光文社)他、訳書は200冊以上。

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