山本光伸の翻訳作品・著作➡ Amazon一覧

士農工商の復活?

  • URLをコピーしました!
目次

士農工商の復活?

 私は今こそ、士農工商の復活をと考えている。何を馬鹿なと目を剥く向きもあるだろうが、まあ、お聞きいただきたい。

 私が言いたいのは、縦書きの士農工商ではない。縦書きにすると、どうしても身分の差といった意味合いが強くなってしまう。私の士農工商は横書きだ。つまり、我々個々人が胸の中に持つべき心構えの優先順位を言っているのだ。

 故三島由紀夫氏は、「日本人はみなマーチャント(商売人)になってしまった」と嘆いておられた。換言すれば、損得勘定がのさばる世の中になったということだろう。「金を儲けるのは悪いことですか?」と、記者会見場でしれっと問い返す証券ファンドの責任者が現われ、「当たり前だ。社会に還元されない金儲けは間違っている」と喝破する人間は一人もいなかった。

 皆さんの周りをよく見ていただきたい。金銭感覚に優れていることを自慢にしている人間がうようよしていないか。そういう連中が秀才面して社会の至る所でのさばってはいないか。

 私はどうしてもそういう人達が好きになれないし、傍に近づいてももらいたくない。ましてや、そういう連中が作る社会の行く先など見たいとも思わない。どれほど経済的に繁栄しようと、その社会はますます貧相になるばかりだろう。

 私は、“士”の字は“志”に置き換えたいと思っている。つまりは、心を持った士のことである。“士”と聞いて、暴力や死や軍国主義をすぐに連想するようでは単純すぎて話にならない。武士の刀はすべて血塗られていると考えるのと同じぐらい愚かしいことなのだ。そういうレベルでしか物事を考えられない平和論者には、所詮、私の言っていることは理解できないに違いない。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

山本光伸プロフィール

 札幌で出版社・柏艪舎と文芸翻訳家養成校・インターカレッジ札幌を経営しています。
 80歳で小説家デビューを機にブログをはじめました。
 ロバート・ラドラム『暗殺者』、アルフレッド・ランシング『エンデュアランス号漂流』(新潮社)、ボブ・グリーン『デューティ』(光文社)他、訳書は200冊以上。

目次